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エッジAIとは?活用事例やメリット・今後の課題について解説!
「なぜエッジAIは注目されているのか…?」「エッジAIのメリットは…?」といった疑問を持っている方も少なくないのではないでしょうか?
近年、さまざまな分野でエッジAIは注目されています。すでに小売業や製造業などでは、エッジAIを活用した事例が数多く存在しており、今後はとくに自動運転車などでの活躍が期待されています。
今回は、そんなエッジAIという技術についての解説と、メリットや今後の課題についてわかりやすくご紹介していきます。
もくじ
そもそもエッジAIとは?
はじめに「エッジAI」とは何か、という点について解説していきましょう。
エッジAIはその名のとおり、「人工知能=AI (Artificial Intelligence)」技術です。人工知能については様々な定義がありますが、簡単にいうと「人間が行う知的活動をコンピューターがプログラムとして実現すること」です。
AIが「人間が行う知的行動」を再現するためには、大まかに「データの学習」「推論」という2つの過程が必要とされています。AIは人間と同じように、データによる学習を積み重ねることによって、人間のような知的活動=推論が再現できるのです。
エッジAIとは、このときの「データ学習」と「推論」の2つの内、推論の部分をエッジ(端)、つまり端末側で行う技術のことを意味します。
エッジAIとクラウドAIの違い
これまで、AIデータ処理はクラウドAIにて実施されてきました。エッジAIと違い、クラウドAIは、全てのデータをクラウドシステム上で処理しており、通信速度の影響を受けやすく、ロスタイムが発生してしまうというデメリットがあります。
しかしながら、技術の発展から、IoT家電やユーザーが直接操作するスマートフォン・PCなどの普及が進み、AIにはリアルタイムな判断(推論)が必要となってきました。そのため、従来のクラウドAIでは対応が難しい部分を補う技術として、エッジAIという技術が開発されたのです。エッジAIは、端末そのものにAIを搭載することで、通信速度の影響によるロスタイムが解消され、リアルタイムな判断が実現できるというものです。
この技術は、今後多くの業界で、機械の自動化に必要不可欠と予想されています。
エッジAIの活用事例
ここまでエッジAIについて解説してきました。
次に、どの様なシーンで利用されているのか、具体的な例をもとに解説いたします。
自動車の自動運転
自動車の自動運転は、エッジAIの活用が最も期待されている分野の一つです。
センサーやカメラの情報から、瞬時に状況を判断して運転に反映させるという技術は、エッジAIのリアルタイム性が求められるとされています。完全自動運転は現時点では実現できておらず、現在も国内外で開発が進められています。
JAL×IBM 航空機における故障予測分析
JALは、エッジAI搭載のセンサーによる航空機の故障予測分析を導入しました。
これは、エアライン独自の保有データである航空機のセンサーデータと整備関連データを分析し、故障発生前に現れる兆候から予防整備を行うことができるというものです。故障発生による危険性の回避の他、あらかじめ予定立てて整備ができるため、機材故障による欠便や遅延を防止できます。
顔認証による入退場管理
エッジAIを搭載したカメラによって、顔認証による入退場管理が可能となりました。
これまで、セキュリティーゲートでは、ICカードなどによっての認証が一般的でした。その場合、カードの紛失・盗難によるセキュリティの問題点がありましたが、顔認証での入退場認証管理の場合、そうした問題点が改善されます。
また、監視カメラなどにエッジAIを搭載することによって、より高いセキュリティ性の確保なども期待できます。
エッジAIのメリットと今後の課題
エッジAIは新しい技術として、さまざまな分野で取り入れられており、技術としてのメリットが数多くあります。しかしながら、新しい技術であることから未解決な課題があります。
続いては、こうしたエッジAIについてのメリットと今後の課題について詳しく解説していきます。
エッジAIのメリット
エッジAIの導入に際してのメリットは、大きく3つあげることができます。
リアルタイムでの判断が可能
エッジAIのメリットとしてあげられる一つ目は「リアルタイムでの判断が可能」という点です。
クラウドシステム上でのデータ処理を必要とするクラウドAIとは違い、エッジAIは端末で判断を行います。つまり判断を実行する際には、ネットワーク通信が不要であり、オフライン環境でもリアルタイムに判断できます。同時にクラウドAIと比較すると、データ通信にかかる時間が不要であり、その分データ分析にかけられる時間が多くなり、より正確な分析結果を出力できます。そのため、自動運転や映像判断など、瞬発的で正確な判断が必要な場面で活用しています。
この点から、現在人の手で行っている業務の自動化に対しても有効であると言われており、さまざまな分野での導入が期待されています。
通信コストを削減できる
クラウドAIでは全てのデータをクラウドシステム上で処理します。そのため、システム利用にかかる通信コストが大きいという問題点がありました。
エッジAIでは、必要なデータのみクラウドシステムにあげることから、その分の「通信にかかるコストを大きく削減」することができます。合わせて、クラウドシステムを利用する際の容量の問題も改善されました。
クラウドAIは、長期運用するほど運用データが増えていく問題がありましたが、エッジAIでは容量の圧迫を防ぐことができます。同時にクラウドシステムの利用にかかるコストも削減できるため、導入に対してのコストはクラウドAIと比較すると大きく下げることができます。
セキュリティを強固にできる
AIデータの中には、クラウドに送信することでセキュリティ面で心配な機密データを取り扱う場合があります。
クラウドは便利な反面、不正アクセスや外部流出といった心配があります。エッジAIは、クラウド送信するデータを選ぶことができるため、機密情報や個人情報など取り扱いが心配なデータをクラウド上にあげる必要はありません。
そのため、エッジAIはクラウドAIと比較して「セキュリティを強固」にできるというメリットがあります。
エッジAIの課題について
続いて、エッジAIの課題についてみていきます。
現在、主な課題としては「端末の限界」と「推論の学習データ化が難しい」という2点があげらています。
端末側の限界
エッジAIは「推論」を端末で行うと解説してきました。
これはリアルタイム性のある判断が実現できるというメリットにつながりますが、その分端末側の限界から実行できる計算(推論)に限りがあるという課題があります。端末側の出力を上げた場合、端末そのものの重量が増えてしまうことや利便性の問題などもあり、簡単には改善が難しい問題です。
推論の学習データ化が難しい
エッジAIは、「学習」と「推論」でAIデータ処理を2つに分けて実行しています。このことから、推論で処理したデータを学習に送信することが難しく、効率的に学習を積み重ねることができません。推論のデータを学習に用いた場合、端末のデータをクラウドに送信するという2度手間が発生してしまい、せっかくの利点であるリアルタイム性やオフライン対応などが損なわれてしまうためです。
この問題についても簡単には改善が難しく、現在大きな課題としてあげられています。
今後のITの発展に必要不可欠な技術
ここまで、エッジAIにおける解説とメリット・今後の課題について解説してきました。エッジAIという技術は、今後より広い範囲での活用が期待されており、ITの発展には必要不可欠な技術です。反面、課題点なども残っており、日々改善のため技術開発が進められています。
また、すでに自動運転や映像判断など、取り入れられている企業や活用事例も数多くあり、エッジAIという技術は企業における問題解決の一助となる可能性があります。
日本国内でも近年、DX化が推進されていることから、この機会にこうしたAI技術の導入を検討されてはいかがでしょうか?