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22.05.31

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スクラム開発とは?アジャイル開発との違いやメリットとデメリットを解説!

近年、主流な開発手法として注目されているスクラム開発についてご存知でしょうか?

「スクラム開発という単語は知っているけれど内容はよくわからない」「スクラム開発とアジャイル開発ってどう違うの?」と言った考えの人も少なくないでしょう。本記事ではスクラム開発について説明を行い、アジャイル開発との違いも明確にしていきます。

アジャイル開発って何?

アジャイル開発とは、「素早い」「機敏な」といった意味のアジャイル(Agile)という単語が名前の由来となっている、システム開発の手法の一つです。「仕様変更に強く」「開発速度が速い」のが特徴です。

従来の開発手法ではシステム全体の要件定義を行なった後、システム全体の設計を行い、設計された情報を基に実装を行い、全ての開発が終わってからテストを行なっていました。このような開発を「ウォーターフォール開発」と呼びます。

「ウォーターフォール開発」については以下の記事で詳しく解説しています。
ウォーターフォール開発の特徴とは?メリット・デメリットもわかりやすく解説!

アジャイル開発では従来の開発手法とは違い、システム全体ではなく「機能単位」で「計画→設計→実装→テスト」の工程を繰り返して開発を行います。反復 (イテレーション) と呼ばれる一週間から一ヶ月ほどの短い開発期間単位の中で、どの機能を開発するかを決定し、開発する機能の要件をまとめて開発を行い、実装した機能の検証を行います。テスト後、実装に問題がなければ新たな機能へ、要望や仕様変更があれば新しい反復の中で更なる機能追加を行う、というように柔軟に開発を行うことができます。

スクラム開発って何?

スクラム開発とはアジャイル開発の一種で、ラグビーのスクラムにちなんでそう呼ばれています。「スプリント」と呼ばれる一ヶ月以内の短い期間を反復し、少人数のチームで積極的にコミュニケーションを取りながら、タスクや役割を分散して開発を行います。

 

スクラム開発の特徴

スクラム開発の最大の特徴は「プロダクト・バックログ」と「スプリント・バックログ」と呼ばれる二つのバックログを管理します。バックログとはプロジェクトに関わる要件やタスクなどを管理するものを指します。

 

プロダクト・バックログ

プロダクト・バックログはシステムの要件や機能を優先度ごとに並べ明確にしたリストのことです。プロジェクトにおけるToDoリストのようなものだと考えると理解しやすいかもしれません。プロダクト・バックログはプロダクトオーナーによって常に最新の情報に保たれ、メンバーは常に最新の情報にアクセスできるようになっています。

スクラム開発ではプロダクト・バックログを中心に開発計画をたて、メンバーはそれに従い作業を行います。

 

スプリント・バックログ

スプリント・バックログとは、一ヶ月以内の短い期間で設定される「スプリント」と呼ばれる期間の中で、着手・完了させるタスクをプロダクト・バックログから抜き出しリストアップしたものになります。スプリント内で行う作業が明確になっているため、メンバーはスムーズに開発に取り組むことができます。

 

スクラム開発の流れ

スクラム開発では短い期間で設定されるスプリントごとに区切って作業を行います。スプリントごとに行われる作業は大きく分けて4つの工程に分かれます。

順番 工程内容
1 プロダクト・バックログから着手するものをリストアップする(スプリント・バックログの作成)
2 スプリント・バックログからタスクを選択し、開発者が作業を行う
3 スプリント中は毎日決まった時間に、開発者の進捗や課題確認を行う(デイリースクラム)
4 スプリントが終了した後、プロダクトオーナーがスプリントレビューと呼ばれる、作成物やスプリント確認・振り返りを行う

 

スクラム開発におけるチーム内の役割

スクラム開発ではチームのメンバーは以下の三つの役割に分かれます。

 

プロダクトオーナー

プロダクトオーナーは開発の方向性を定め、プロダクトの価値を最大化することに責任を持つ責任者のことです。また、プロジェクト内で取り組むべきタスクや、タスクの優先度の管理を行います。

「プロダクトオーナー」については以下の記事で詳しく解説しています。
プロダクトオーナーとは?スクラム開発における重要性と役割を解説!

 

スクラムマスター

スクラムマスターはプロジェクトのメンバーや関係者に対し、スクラムの価値観を理解してもらうよう支援を行います。また、全体の調整役としてプロダクトオーナーや開発チームが抱える課題の解決に取り組みます。

「スクラムマスター」については以下の記事で詳しく解説しています。
スクラムマスターとは?アジャイル開発における重要性と役割について解説!

 

開発者

スプリントを作成、またその責任を持ち、プロダクトオーナーの意向に沿って実際にシステム開発を進めます。

スクラム開発とアジャイル開発の違い

前述した通り、スクラム開発はアジャイル開発の一種になります。アジャイル開発は、スクラム開発の他にも「エクストリーム・プログラミング(XP)」「ユーザー機能駆動開発(FDD)」などの開発手法があります。

スクラム開発はアジャイル開発を行うためのフレームワークであり、数あるアジャイル開発手法のうちの一つスクラム開発なのです。

スクラム開発のメリットとデメリット

ここまでスクラム開発とはどういったものなのか、またどのように進めていくものなのかを解説してきました。ここからは、スクラム開発のメリット・デメリットについてみていきましょう。

 

スクラム開発のメリット

スクラム開発には大きく3つのメリットがあります。

・プロダクトの価値を高めやすい
・問題や課題を解決しやすい
・仕様変更に柔軟に対応しやすい

 

プロダクトの価値を高めやすい

スクラム開発では、作成した機能はすぐフィードバックが得られ、プロダクトの目的に合ったものになるよう改善が行いやすいため、プロダクトの価値を高めやすいです。また、重要度の高い機能から開発を行うため、システム開発が終盤になった際に重要な機能ができていない、時間がなくて不十分な開発しか行えないといったことが起こりづらいです。

 

問題や課題を解決しやすい

スクラム開発では「デイリースクラム」と呼ばれる毎日決まった時間に進捗の確認や問題の共有などを行います。そのため、メンバー間で問題の共有を行いやすく、またメンバーの抱える問題を解決する役割も持つ「スクラムマスター」もいるため、問題の解決がしやすいです。

 

仕様変更に柔軟に対応しやすい

スクラム開発では短期間に機能単位で「計画→設計→実装→テスト」を行います。そのため、作成したシステムに対するフィードバックが早く、従来の開発手法に比べ仕様変更などの対応が容易です。システム全体が完成した後に仕様変更などが発生した場合、システム全体を見直して全体の修正が必要になりますが、スクラム開発では機能単位ごとにフィードバックを受け取り修正が可能なため、仕様変更に対応しやすいです。

 

スクラム開発のデメリット

スクラム開発におけるデメリットは2つあります。

・開発全体の工数が膨れやすい
・メンバーの技術水準によっては満足な開発が行えない

 

開発全体の工数が膨れやすい

柔軟に開発が行える一方で、当初予定していた工数よりも多く作業にかかってしまうことがあります。

例えば、以下のようなスプリントの計画を立てていたとします。

今回対応するスプリントの内容: Aという機能の作成
次回対応するスプリントの内容: Bという機能の作成

Aという機能を開発した後に、関係者が実際に使用してみた結果、仕様変更が必要だとフィードバックをもらったとします。その後に予定していた次回対応スプリントのBの機能作成を行わず、A機能の仕様変更に対応を行います。その場合、B機能の開発は後回しになるため、開発全体の工数は多くなってしまいます。

そのため、スプリントごとに設定した機能開発が問題なく行えたとしても、開発全体の工数が増える可能性があります。

 

メンバーの技術水準によっては満足な開発が行えない

スプリントは最短一週間で終了する場合もあり、メンバーの技術水準によっては予定していたタスクが行えないこともあります。また、技術水準に問題がなくとも、スクラム開発やプロダクトに慣れるまで、満足な開発が行えない場合もあります。

スクラム開発は仕様変更に対応しやすく、プロダクトの価値を高めやすい開発手法

スクラム開発の仕組みやメリットとデメリット、アジャイル開発との違いについて解説しました。

アジャイル開発は「計画→設計→実装→テスト」を短期間で行う開発手法で、スクラム開発は数あるアジャイル開発手法のうちの一つです。仕様変更に強く、プロダクトの価値を高めやすい反面、工数が多くなってしまう可能性があるというデメリットもあります。

メリット、デメリットを理解し、「スクラム開発を行うべきか」「別の開発手法の方が適していないか」など、比較して判断することでよりよい開発が行えるでしょう。